はじめに
こんにちは、イギリスの大学で数学を学んでいるゆーたです!
この記事では、初級・中級で見てきた「倍数・約数・余り」の内容を深ぼっていきます。
初級・中級で「除数・因数・約数」という3つの単語とその英語での表し方を解説しましたが、意味をちゃんと理解できましたか?
正直これらを正しく説明できる人は少ないです。
この記事では、これら3つの単語の意味について、英語と日本語の両方で詳しく見ていきます!
初級・中級の記事をまだ読んでいない方は、以下のリンクから飛んで下さい。
→ かけ算・割り算のマニアックな英単語・表現と素因数分解(中級)
(所要時間:10分)
日本語での除数・因数・約数の違い
中級の記事を読んで、すでに「因数」と「約数」の共通点に気づいた方がいると思います。
また、「除数」という聞きなれない単語の意味を正しく知ることも重要です。
まずは、3つの用語を明確にする必要がありそうです。

見るべきポイントは次の4つです。
- 「約数」と「因数」は違う形の同じ意味
- 除数は割る数!
- 除数は整数のときのみ、約数と因数に言い換えられる
- 英語で「divisor」は、除数だけでなく約数も意味する単語である
「因数」は中学数学で習う単語です。しかし、英語圏の小学校では「因数(factor)」について習います。そこで、この記事では「因数は整数である」ということを前提に話を進めます。
「因数」の意味をすでに知っている中学生以降の方は、上のポイント1と3に違和感を覚えると思います。なので、そこはパスしてしまってかまいません。
1.「約数」と「因数」は違う形の同じ意味
まず、次のように二つの式を考えましょう。
$A\div B=C$ $A=B\times C$
$B=0$ でなければ、これらの式は同じことを表していることはすぐに分かるでしょう。
もし $B$ が整数なら、左側の式より「BはAの約数である」と言えますね。
同じように、右側の式から「BはAの約数であり因数でもある」と分かります。

なので、「約数」と「因数」は違う形の同じ意味と言えます。
2.除数は割る数!
除数は、割り算での「割る方の数」を表します。
次のように、
$A\div B=C$
ならば、Bは除数です。
このとき、割る数は、小数でも分数でも整数でもかまいません。
さらに、あまりのある割り算でも、例えば次なような式なら
$8\div 3=2あまり2$
3は除数です。
3.除数は整数で余りがないときのみ、約数と因数に言い換えられる
「除数」と「約数」の関係から見てみましょう。
例えば、「5は10の約数である」というのは正しいですよね。これは、次のように掛け算の関係で表せます。
$5\times 2=10$
両辺を5で割ると:
$2=10\div 5$
となるので、「5は10を割る除数」でもあります。
しかし、約数は整数でないといけません。
また、必ず割ったときに余りがない数(割り切れる数)でないといけないことを忘れてはいけません。
例えば次のような式を考えましょう。
$2.5\times 8=10$
$10\div 3=3 あまり 1$
このとき、1つ目の式で 2.5 は小数で、2つ目の式で 3 で割ると余りが出ます。
なので、2.5 と 3 はどちらも 10 の約数ではありません。
さきほどの説明で、「『約数』と『因数』は違う形の同じ意味」なので、「因数も整数の場合には除数」となります。
これら全体を踏まえると
除数は小数なども含むのに対し、約数と因数は整数のときのみ
となります。

説明が難しく、言葉遊びのようになってしまいましたが、赤枠の部分を理解できていれば問題ありません。
大学の数学科では、このような議論が良くされます。今回のような内容に興味を持った方は、数学科へどうぞ!
4.因数の意味(定義)に関する注意点
上で述べた因数の意味は、小学算数にのみ言えるものです。
中学数学では「2次関数の因数分解」というものを習います。
例えば、次のようなものを因数分解と言いますが、
$x^2+5x+6=(x+2)(x+3)$
このときの $(x+2)$ や $(x+3)$ を因数と呼びます。これは、x という文字が含まれているので整数ではありません。
「では因数とは何なのか?」と言われると、これですと言うのは非常に難しいです。
この後説明しますが、因数を表す英単語「factor」についても似たような曖昧さがあります。

日本語での意味の違いについてはこれで以上です!
英語での除数・因数・約数の違い
では日本語の言葉の使い分けから、英単語の意味に話を移しましょう。
英語で「除数・因数・約数」に関係するのは「divisor」と「factor」です。
これらの意味似ていて順番に深ぼっていきましょう。
1.結局「divisor」の意味は何?
ズバリ言うと、「divisor」は日本語での「除数」と全く同じ意味の単語です。
なので、「割り算の形で表されているときの割る方の数」が「divisor」です。

ここで重要なのが、上の説明の「割り算の形で」という部分です。
要するに、他の形であらされていたら「divisor」ではありません。
例えば、「$12\div 3=4$」はあまりがないため「$4\times 3=12$」と掛け算の形でも表されます。
しかし、後者の場合の「3」は「divisor」とは呼びません。
2.factor の意味は?
こちらもズバリ言うと、「factor」の意味は「因数」と同じです。
なので、「掛け算の形で表されているときのそれぞれの数」が「factor」です。

ちなみに上の式は、素因数分解(Prime factorization)でもありますね。
このことから、上の式の素数は「素因数」と呼ばれたりもします。
英語で素因数は、そのまま「Prime factor」です。
「divisor」の場合と同様に、「掛け算の形で」の部分が重要です。
仮に式変形をすることで、割り算の形に表せる式でも「割り算の形になっていなければ factor とはならない」ことを覚えておきましょう。
上では、英語圏の教育システムに従い小学算数では「因数を整数のみとする」というルールを適用しました。
例えばアメリカの教育では、小学4年生(Grade 4)で「factor」について習います。このとき、
“Find all factor pairs for a whole number in the range 1-100″
(1から100の整数の中から、因数となる数のペアをすべて見つけなさい)
などの使われ方がされます。
ちなみに、因数となる数のペアとは、「片方の数がもう片方の因数となる組合せ」のことです。
例えば、「10と5」はそのようなペアです。
3.factor を正しく理解するのは難しい?
「factor」の意味については、上の説明であっています。
しかし、数学の中でも違った意味の使われ方をすることがあります。
例えば、「第13章:図形で習ういろいろな性質(中級)」で紹介する図形の拡大図・縮小図の話の中では、「scale factor」という単語が出てきます。
しかし、このときの「factor」は今回のようなかけ算の形とは異なります。

日本語でも、「~因子」などと呼ばれるものには「factor」が使われることが結構あります。
しかし、必ずしも掛け算の形をしているわけではありません。

「factor」という単語の曖昧さについては少し理解してもらえたと思います。
4.日本語の「約数」を英語にすると?
ここで問題になってくるのが、「約数をどう訳すか?」ということです。
小学生までなら?
小学校の内容までなら、前半で書いた日本語での説明をそのまま使えば問題ありません。

中学以降なら?
しかし中学以降になると、「因数は整数とは限らない」ので「因数と約数は同じでない」となります。
なので立ち位置としては、下のようになります:
では英語で「約数」はどう表現する?
「小学生」と「中学以降」のどちらの場合でも、「約数」は「divisor」と「factor」の両方と異なります。
そして残念ながら、英語には「約数」を的確に示す単語がありません。
そのため、使われている場面をもとに「divisor」と「factor」を使って表現を変える必要があります。
- 2 is an integer factor of 10.
(2は、整数の場合の8の因数の1つである) - 2 is a divisor of 10, which is divisible and a whole number.
(2は、割り切れてかつ整数の場合の10の序数である)
上では、「英語で無理やり約数を説明」しています。
しかし、英語には約数にあう単語が存在しないのですから、難しいことは考えずに「約数という言葉は考えないようにして英語を使った方がいい」でしょう。

以上で解説は終了です。
最後に
今回は、これまでのような英語の解説だけではなく、
日本語の意味や使い分けについても見ていきました。
自分でも正しい伝えられているか不安ですが、分かりやすかったと思っていただけると嬉しいです。
次の第3章では「英語でのカッコの使い分けと四則演算の性質」を解説します。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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