はじめに
本記事では、小学算数ではあまり使われないものの、専門性の高い理系の分野で目にする表現を紹介します。今回紹介する以外にもたくさんの表現が存在しますが、数学や科学において重要性の高いものをピックアップしています。
この記事は、基本的な内容を扱った初級と中級の記事のプラスアルファとしての内容です。まだ、初級と中級を読んでいない方はそちらを先に読むことをおすすめします。
→ 加減乗除の英語表現(初級)
→ 加減乗除の英語表現(中級)
(所要時間:5~10分)
単語・表現の一覧
単語・表現 | 意味 |
---|---|
Addend | 加数 |
Summand | (複数の場合の)加数 |
Augend | 被加数 |
Subtrahend | 減数 |
Minuend | 被減数 |
Term/ Terms | 項 |
A less B | A-B |
n-fold | n倍、n倍の |
Divide A into B/ A divided into B | AをBに分ける/AがBに分けられる |
A yields B | AはBという結果になる、AからBを得る |
単語の解説
Addend と Augend
初級の記事から、「add A to B」を考えると、「BにAを足す」となります。この時、Aを「addend」、Bを「augend」と言います。日本語では、「addend」を「加数」、「augend」を「被加数」と言います。
また、Aが単体の数ではなく、「A=2+3」のように複数項の場合、「summand」と呼びます。
Subtrahend と Minuend
足し算の場合と同様に、「subtract A from B」を考えると、「BからAを引く(B-A)」となります。この時、Aを「subtrahend」、Bを「minuend」と言います。日本語では、「subtrahend」を「減数」、「minuend」を「被減数」と言います。
ここまでで紹介した「addend/ augend/ subtrahend/ minuend」を実際に使う機会は、ほぼありません。私もこれらの単語を目にしたことは何度かあっても、気にしてきませんでした。
論文の執筆などでどうしても必要な場面以外は、わざわざ使う必要はありません。
それに対して、掛け算・割り算での「factor/ divisor」などは使用頻度が多く、重要度がより高いです。
これらは次の記事で紹介したいと思います:
→ 第2章:倍数・約数・余りの英単語表現(中級・上級)
term/ terms
上のコメントで、「addend/ augend/ subtrahend/ minuend」はあまり使わないと言いましたが、これらを「term/ terms」と置き換え使うことがあります。これは日本語で言う「項」です。項が複数のとき「terms」になります。これを使うと次のような形になります:
「項」は、中学一年の「一次式」で初めて習う用語です。なので、「addend/ augend/ subtrahend/ minuend」はすべて中学数学の前段階としてのレベルを超えています。
したがって、中学数学の記事で詳しい説明をしたいと思います。
A less B
初級で習った「A minus B」の代わりに、「A less B」とすることが可能です。中学英語で習う「A less than B」(比較級)ではないことに注意してしてください。
「minus」と「less」の違い:
「minus」は話し言葉なのに対して、「less」は書き言葉です。
一般的に、フォーマルな文章(本、新聞など)では、以下の例文のように「less」を使います。
- A full year’s dividend less tax is $10,000. (税金を引いた一年間の配当は、一万ドルである)
n-fold
「n-fold」は「n倍、n倍の」という意味で、「3-fold」は「3倍」となるように、nには整数が入ります。この表現は、これまで紹介してきた「A multiply by B」や「A times B」のような数式としての使われ方はせず、次のように使います:
「n-fold」は、私たちが日常生活で使う「~倍」の形で使われ、「数字×数字」のイメージとは異なります。なので、数値を用いる金融や化学など、より現実社会とつながった部分で使われます。
Divide into
「Divide A into B」の形で、「AをBに分ける」という意味になります。また、受動態にすることで「A divided into B」は「AがBに分けられる」となります。
(*「into」の代わりに「to」を使うこともできますが、「into」の方が一般的です。)
- 1つ目の例文より、「Divide into ~」という表現は、初級・中級での「割る」という行為とは異なり、「~に分ける」であることに注目してください。この表現を使うことで、より一般的な「数字を分ける」という行為が可能になります。
- なので、 2つ目の例文を見ると、「割り算」は「Divide into」でも表せることが分かると思います。
上では、四則演算の場合の「Divide into」を例に挙げましたが、次のような場面でも使えます:
- Divide the set of integers into the sets of even numbers and odd numbers. (整数を偶数と奇数に分ける)
(*integer: 整数、even number: 偶数、odd number: 奇数) - Divide one circle into two semicircles. (円を2つの半円に分ける)
A yields B
「yield」という単語は、「ある計算やプロセスによって何かを生み出す」という意味になります。なので、中級で習った「A gives B」や「A results in B」と同様に使うことができます。
上の例のように、「ある値を入れて決まった値を出す」ようなプロセスを「関数」と呼びます。中学数学では、「一次関数」と「二次関数」を習います。
上級の解説はここまでです。この記事では練習問題を用意していません。最後に今回習った単語のまとめを確認したら本記事は終わりです。
上級単語のまとめ
単語・表現 | 意味 |
---|---|
Addend | 加数 |
Summand | (複数の場合の)加数 |
Augend | 被加数 |
Subtrahend | 減数 |
Minuend | 被減数 |
Term/ Terms | 項 |
A less B | A-B |
n-fold | n倍、n倍の(*nは整数) |
Divide A into B/ A divided into B | AをBに分ける/AがBに分けられる |
A yields B | AはBという結果になる、AからBを得る |
最後に
ここまでこの章のすべての級の記事を読んでいただきありがとうございました。上級の記事の内容は自分でも確認したりすることがたくさんあり、とても面白かったです。皆さんにとっても、この記事が少しでも役に立ったと思っていただけると幸いです。
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